Wonderful DaysⅡ






ロビーでの一件で、気まずい雰囲気のまま歩いている私と魁さん。

何て声を掛けたらいいのか分からなくて、ロビーを出てからまだ一言も言葉を交わしていなかった。


「……………………」


この沈黙がツライ……

無言のまま向かった先は、このホテルのレストラン。

木目調の重厚な扉を潜れば、豪華なシャンデリアに照らされて落ち着きのある内装が目に入る。

同じく木目調の壁には、まるで図書館のように本がびっしりと並び、その本棚の間にはいくつもの肖像画が飾られていた。


「こちらのお席へどうぞ」


ほぼ満席に近い状態の中、燕尾服を着たウェイターに案内されたそこは窓際の席で、そこからは綺麗に整えられた庭園が見えた。

テーブルには、銀の花瓶に深紅のバラが一輪。


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