Wonderful DaysⅡ
“どくん”
その刹那、心臓が一際大きく反応する。
───何で……
さっきまでの雰囲気から、絶対に睨まれているだろうと思っていた私。
なのに……
予想に反して、私に向けられていたのは愛おしそうに見つめてくるダークブラウンで。
「ノンアルコールのカクテルです」
飲み物の説明をしてくれているウェイターの声が、どこか遠くで聞こえたような気がした。
目の前にそれが置かれ、ウェイターが立ち去った後も、私の視線は魁さんに向いたまま逸らす事ができなくて。
無言で視線が絡み合うこと数秒……
「───あの時と、同じだな……」
ダークブラウンの瞳が揺らめいて、先に口を開いたのは魁さんだった。