Wonderful DaysⅡ



そんな会話をしていれば、再び近づいてきたウェイター。


「お待たせ致しました。冬野菜のテリーヌです」


私と魁さんの前に置かれたのは、前菜のお皿で。


「………………」


「………………」


乾杯する前に、料理が運ばれてきちゃったよ……


「……取り敢えず、乾杯するか」


「ぷっ」と吹き出すと、ノンアルコールのカクテルが入ったグラスを持った魁さん。


「そうですね……」


私もつられるようにクスクスと笑いながら、グラスを手にした。


「じゃあ、初デートに乾杯」


グラスを胸の高さまで持ち上げると、微笑む魁さん。

“初デート”

その言葉に、くすぐったさを感じながら


「……乾杯」


私も笑顔で返して、グラスに口をつけた。

黄色い液体を飲み込んだ瞬間、口の中には程よい酸味と甘みが広がるけれど……


「あれ? これって……」


「気がついたか? 前に飲んだ事あるだろ」


初めて飲んだはずのそれは、魁さんの言ったとおり飲んだ事がある味で。



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