Wonderful DaysⅡ



「はい」


……思い出した。

今まで忘れていたけれど、この味は覚えてる。

5年前のクリスマスパーティー。
魁さんと二人、中庭で話していた時に飲んでいたジュースの味だ。

少し変わった味のオレンジジュースだと思って飲んでいたけれど……


「あれって、オレンジジュースじゃなかったんですね」


「あぁ。あの時は、分からなかったけどな」


あの時も、こんな風に話しながら飲んでたんだよね。

あの頃の私は、記憶が曖昧で。

唯一、はっきりと覚えているのは、魁さんと出会ったあのクリスマスパーティーの事だけだった。

それすらも、五年という歳月の中でうろ覚えになっていて、一人じゃ絶対に思い出せなかっただろう記憶も、魁さんと話していれば段々と鮮明になってくる。


「そういえば……」


思い出した事を口にすれば


「そうだな」


相槌を打ちながら答えてくれる。

ゆっくりとした時間が流れる空間の中、次々と運ばれてくる料理を堪能しながらの魁さんとの会話はやっぱり楽しい。


< 190 / 278 >

この作品をシェア

pagetop