Wonderful DaysⅡ
once againⅡ
◇
(side:アルバート)
「…………ねぇ、兄さん」
屋敷の書斎で、パソコンを操作している兄さんに声を掛けてみれば
「───何だ」
いつもと同じような返事が返ってくる。
……いや。いつもよりは、苛立ちを含んだ声か。
「魁とマリアは、クリブデンに着いたみたいだよ」
様子を伺うように告げると
「知っている」
既に、二人の現在地を把握しているらしい兄さん。
まぁ、当然といえば当然か。
「何だ。知ってたんだ?」
この兄さんが、魁とマリアを二人きりにさせるわけがない。
きっと、アーロンあたりを向かわせているに違いないと思っていたのだが……
「マリアのGPSで確認済みだ」
「え? GPS?」
俺の予測に反して、兄さんの口からは違う答えが返ってきた。
じゃあ、本当に二人きり!?
「何だ。何か、言いたそうな顔だな?」
ずっと、パソコンの画面を見ていた兄さんが、ちらりと視線を向けてくる。
「え……だって……」
その視線にびくりと肩を揺らしながら、しどろもどろになっていると
「……魁との賭けに負けたんだから、仕方がないだろう」
先ほどの賭けに負けたことを思い出しているのか、兄さんの眉間には深い皺が刻まれる。