Wonderful DaysⅡ
態々、兄さんが衛星電話から掛けてくるなんて……
何か、急用なんだろうか?
「まだ、ジェットの中なんでしょ? 何か、あった?」
余程の急用でなければ、滅多に衛星電話なんて掛けてこない兄さん。
『──…あぁ、ちょっとな……』
珍しく歯切れの悪い返答に
「ちょっと?」
思わず聞き返してしまった。
『アル……マリアの様子が、少しおかしい』
声を潜めて話す兄さん。
「マリアの様子が?」
『あぁ……何を聞いても上の空で、窓の外を見たままなんだ』
「インフルエンザが治ったばかりだから、体調が戻っていないとか?」
少し前まで2種類のインフルエンザに罹って、寝込んでいたマリア。
『……いや、体調不良って感じじゃない。
どちらかと言うと、以前のマリアに戻ってしまっているように見える……』
「以前って……!」
兄さんの言葉に、あの時のマリアの表情が脳裏を過ぎる……