Wonderful DaysⅡ
「スージー・アン号へ、ようこそ!」
笑顔で出迎えてくれた運転手さんに「よろしくお願いします」と挨拶をした魁さんは、もたもたしている私を軽々と抱き上げると船に乗り込んだ。
小ぢんまりとした木製の船内に足を踏み入れれば、赤い長椅子と白いクロスの掛かった長テーブルがあって。
私達の後ろを歩いてきた運転手さんが、見慣れたノンアルコールのカクテルとフルーツを備え付けの冷蔵庫から出してくれた。
「ありがとうございます」
お礼を言えば、にこりと笑みを見せて
「今日は、お二人だけの素敵なクルーズをお約束するよ」
お茶目にウィンクをしてくる。
「……二人だけ?」
そういえば、他に乗る人はいないのだろうか?
きょろきょろと辺りを見回しても、この船に乗ろうとする人はいなくて、皆、後ろの船へと乗り込んでいく。
私の様子を見ていた運転手さんは
「あっちは観光仕様で、こっちはデート仕様だ。ゆっくりと進んで行くから、二人きりのデートを楽しんでおくれ」
笑顔で操舵席に向かって行った。
“デート仕様”
その言葉に、頬が熱くなっていく。