Wonderful DaysⅡ
「時間は40分程度だから、アフタヌーンティー迄にはちょうどいいだろ」
私を長椅子に促して隣に座った魁さんが、時計に視線を向けながら声を掛けてくる。
「……はい」
それに返事をしたところで、ゆっくりと岸を離れて動き出したスージー・アン号。
音もなく、静かな二人きりの空間(運転手さんはいるけれど)にドキドキして、大人しく座っていたのはそこまでだった。
船がゆっくりと進む中、運転手さんに手招きされて席を立った私。
身振り手振りで左右に見える風景の説明を一生懸命してくれる運転手さんに相槌を打ちながら、もっとよく見ようと身を乗り出せば
「お前は……」
その度に魁さんに注意されながら、船の中へと連れ戻される。
「だって……」
テンションが高くなっているのは、許してほしい。
だって、初デートなんだもん!!
流れていく風景が素敵なのもあるけれど、それよりも魁さんとデートをしているという事実が嬉しくて仕方がない。