Wonderful DaysⅡ


『アル……アイツに連絡を取ってくれないか?』


「アイツって……」


兄さんの声に、ハッとして聞き返す。


『──…魁だ。マリアの、ここ最近の様子を知りたい。
さっきから何度も電話をしているんだが、繋がらなくてな……』


「繋がらない?」


そんな筈は無い。

兄さんからの連絡は、何があっても必ず受けていたアイツに繋がらないだって?


『今まで、そんな事は一度たりとも無かったから気になってな……』


「わかった。連絡がつき次第、兄さんに電話するよ」


『あぁ、頼む……』


その言葉を最後に、切れた電話。


「…え……?」


思わず、通話が終了した後も真っ暗になった画面を凝視してしまった。

今、兄さんの口から“頼む”という単語が出てきた気がするんだが、空耳じゃないよな?



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