Wonderful DaysⅡ
「あ……はい」
返事をしながら視線を上へと向けると、ボーっとしていた私の反応が気になったのか、心配そうに様子を伺う魁さん。
「どうした?」
頬に感じた熱は、魁さんの大きな手だった。
「え? あ、えっと、なんでもないです。ちょっと、考え事をしてたから……」
「そうか……少し席を外すから、ゆっくり食べてろ」
「でも……」
態々、マーク兄さんがホテルにまで電話を掛けてくるなんて……
───何の用なんだろう?
もしかして、もう帰って来いって言われるのかな……
考えれば考えるほど、その意図が分からなくて不安になる。
「大丈夫だから、そんな顔するな。直ぐに戻る」
そんな顔って、どんな顔?
私が疑問の言葉を口にする前に、頬に触れていた指を滑らせて指先で撫でると、するりと離れていく魁さんの手。
「……っ……」
そのまま足早に出て行ってしまった魁さんの後姿を見送っていたけれど……
ぽつんと一人、部屋に取り残さた私。
シーンとして、静まり返った部屋は居心地が悪い。