Wonderful DaysⅡ


兄さんの口から“頼む”だなんて。

何か、悪い事でも起きるのではないだろうか……

そう思いながらも、画面を操作して“KAI”の文字を探す。


「──…あった……」


アドレスから電話番号の画面に触れれば、すぐに鳴る無機質な音。

だが、兄さんの言っていた通り、何度電話を掛け直してもアイツに繋がる事は無かった。


「一体、どうしたっていうんだ!?」


留守電にも入れているのに、折り返しの電話も掛かってこないなんて……


───まさか、アイツの身に何かあったのか?


これだけ連絡がつかないのも不自然で。

最後にもう一度だけ……と、画面の発信ボタンに触れようとした時だった。


「…………」


ある人物からの着信を知らせる音が鳴る。


───この忙しい時に、なんでコイツから電話が掛かってくるんだよ!


一瞬、着信を拒否してやろうかと思ったが……

もしかしなくても、兄のコイツなら魁に連絡がつかない理由を知っているかもしれない。

そう考え直した俺は、拒否ではなく通話のボタンに指を滑らせた。


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