Wonderful DaysⅡ
「───はい……」
扉へと視線を移した魁さんが抑揚の無い声で返事をすると、ゆっくり開いた扉の向こう側には一人のホテルマンが立っていて……
「失礼致します。結城様、準備が整いましたのでお迎えに上がりました」
丁寧なお辞儀と共に、声を掛けられた。
「……わかりました」
それに答えた魁さんは、ちらりと私に視線を向ける。
「……………………」
「………………?」
───何だろう?
意味ありげに向けられたそれの意味が分からなくて、ジッと見つめ返せば
「……腹は、本当に大丈夫なのか?」
もう一度、私の様子を確認した魁さん。
「はい」
それに笑顔で答えると、諦めたように小さく溜め息を吐く。
「辛くなったら、直ぐに言えよ?」
そう言って、僅かに温度を取り戻した左手で、ぽっこりお腹を隠していた私の右手を取ると、ホテルマンの待つ扉へと向かって歩き始めた。