Wonderful DaysⅡ

日本へ






(side:アルバート)


───あ~ぁ。やっぱり、間に合わなかったか。


中庭に続く建物の入り口から、幻想的なイルミネーションを見て肩を落とす。

俺達の視界の先には、5年前のクリスマス・パーティーと同じ光景が広がっていて。

よく、ここまで再現できたものだと感心する。

そんな中、中庭のツリー付近に飾られたキャンドルの淡い光に照らされて、浮かび上がる一つの影。

考えるまでもなく、その影は魁とマリアの二人でしかない。

ホテル側の配慮で、今、この中庭は立ち入り禁止になっているのだから。


はぁ……
思わず、溜め息が零れる。

背中から凄まじい殺気を放っている目の前の人物に、なんて声を掛けていいのか分からない。


「………………チッ」


最近、聞き慣れてしまった兄さんの舌打ちを聞きながら二人の影を追っていれば、視界の先に映るそれは益々密着するように重なった。


「……………………」


頼むから、それ以上追い討ちをかけるのはやめてくれ。


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