Wonderful DaysⅡ
それはそれは、恐ろしいほど綺麗な笑みで。
「……っ…………」
俺に向けられているものではないと分かってはいても、ぞくりと背筋が凍る。
───こ、怖い……
「何の、事でしょう……?」
兄さんに“おめでとう”と言われた意味が分からずに、怪訝な顔をするシーモア。
普段、仕事の席では物静かで穏やかそうに見られている兄さんだけど。
実際に、そんな性格じゃない事は、嫌と言うほど知っている。
だから、次に発せられる言葉にも驚きはしなかった。
「今日で、シーモア家の爵位は剥奪される事になりました」
「…………は?」
「あなたの会社は、随分と犯罪紛いの行為を行っていたようですね」
にこにこと話しを続ける兄さんと、その場で固まったシーモア。
「な、何かの間違いなのでは? 私が犯罪紛いの行為をするなんて……」
「間違い? 貴方の指導の下で行われているのに?」
「それこそ、大間違いですよ! 私の指導で犯罪行為など……」
慌てて弁解するシーモアだったけれど
「───黙れ。この、ゲス野郎が」
今まで笑みを絶やさずにいた兄さんからは、射殺しそうな鋭い視線と、地の底から響いてくるような低音が向けられる。