Wonderful DaysⅡ



「それだけではない。貴様、警察と裁判官に根回しして、マリアに対する娘の行為を無い事にしようとしたな?」


「…………は!?」


兄さんの言葉に、思わず声が出ていた。


「ど、どういう事!? 兄さん!」


「こいつは、逮捕された自分の娘を無罪にする為に警察関係者と裁判官に根回しをしていたんだよ」


「マジかよ……」


有り得ない。

あれだけマリアを傷つけておいて、無罪になるなんて。


「その行為が、爵位を持つに相応しくないと認められたんだよ」


「くっ……」


何も言い返せないカルロス・シーモアを見据えたまま、忌々しげに言葉を吐き出した兄さんは、胸ポケットからスマホを取り出すと


「お願いします」


短く、一言。

それだけ言って、通話を終了させた。



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