Wonderful DaysⅡ


病み上がりどころか、熱も下がっていない状態で渡英してきた魁。

後から診察したウィンザーの主治医が「よくこんな状態で、日本から来れたものだ」と驚いていた。



あの時───

公園に姿を現した魁は、一見なんでもなさそうに見えたが……

あいつの隣に立った時、額に滲んだ僅かな汗が見えて。

時折、眉間を寄せて、何かを堪えるかのような表情を目にすれば、相当無理をしているのだろうと簡単に推測できた。


それでも、マリアの前では辛そうな素振りはおくびにも出さず、クリスマスキャロルに付き合った魁は、俺との約束通り寺院の中でマリアの指に婚約指輪を嵌めた。

魁だったら間違いなく間に合うだろうと、予測はしていたが……


実際にその場面を目の当たりにした時は、まるで娘を嫁に出す父親のような複雑な心境に陥って、かなりのショックを受けた。


……何で、この歳でそんな経験をしなければいけないんだ!


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