Wonderful DaysⅡ


「マリア、起きろ!」


このままの状態で放置しておけるはずもなく、マリアを起こそうとアルが声を掛けたが……

案の定、反応は無い。




「マリア、起きなさい!」


名前を呼んだところで目を覚ますとは思えないが、俺も一応声を掛けてみる。

ベッドから遠く離れた場所から声を掛けたのを、アルが不思議そうに見てくるが……

過去の苦い経験から、これ以上マリアに近づくのは危険だ。

何か言いたそうなその視線を無視していれば、再びベッドに向き直り、声を掛けながらマリアの肩を揺すり始めるアル。


「マリア、起きるんだ!」


「……んぅ……」


それに微かに反応したマリアだったが


「マリア」


「……さ……い……」


抱き上げようと、アルが魁の腕を解いた時だった。


「…もう……目覚まし、うるっさい!!!」


「マリ……ぐほっ!!」


固定されていた体が自由になったマリアが、目を瞑ったまま凄まじい速さで二発の裏拳をアルに叩き込んだ。


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