Wonderful DaysⅡ
【第2章】
Christmas Eve
◇
「はぁ……」
溜め息を一つ吐いて、雪が舞い散る空を見上げる。
よく来ていた近所の公園のベンチで、冬空へと消えていく吐息を暫く見つめていた。
イギリスに住んでいた時は、お婆様の家に篭っていても息が詰まってしまうから、いつの頃からか日課のように通っていたこの公園。
普段は散歩をしている人が多いけれど、流石に今日のような天気では人影はなかった。
ましてや、今日は24日。
公共機関も間引き運転というより、ほぼ動いていない状況で、クリスマス・イブに外に出ているのは私と、少し離れた所で辺りを警戒しているSPの2人だけかもしれない……
「マリア様、そろそろお屋敷の方へ戻りませんと体が冷えてしまいますよ?」
───あ、忘れてた……
今日は、何故か執事のランスロットさんも一緒だったんだっけ。
この降り続ける雪の中を、私に付き合ってくれているランスロットさんとSPの人達が気の毒になって、やっとベンチから重い腰を上げた。