Wonderful DaysⅡ


だって、私はまだ魁さんに“好き”って伝えていない。

伝えようとしていた矢先に、イギリスに来る事になるなんて思いもしなかったから。

少し強引過ぎるマーク兄さんにムッとしながらも、パスポートすら持っていない自分では何も行動出来ない事に一番腹を立てていた。

私が歩き始めれば、当然のようについて来る複数の足音。


イギリスにいる時は必ずついて来るSP。

それは仕方のない事だけど……


「本日は、教会で開かれるミサにお出掛けになるそうなので、早めに戻って準備を整えた方がよろしいかと」


今日に限って、何でお婆様の執事のランスロットさんまでついて来てるの!?


「……ミサですか?」


「はい。深夜の礼拝になりますので、温かい服装でお出掛け下さい」


今、初めて知った本日の予定……

それよりも気になったのは


「ランスロットさんは、お婆様の傍に居なくていいんですか?」


イギリスに住んでいた時でさえ、スクールの入寮手続き等の重要事項がある時だけ同行してくれていたランスロットさんが、ただ近所の公園に散歩に出るのについて来る理由もなく……



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