Wonderful DaysⅡ







「おかえりなさい、マーク。待っていたのよ」


重厚な造りの屋敷に足を踏み入れれば、リビングにある一人掛けのソファーに座ってくつろいでいたお婆さまが、マーク兄さんに声を掛けてくる。


「ただいま戻りました、お婆様」


マーク兄さんが、柔かに答えるから


「ご無沙汰しています、お婆様……」


お婆様の視界に映った私も、無難な挨拶を言葉にしてお辞儀をした。


「…久しぶりね、マリア。よく来たわ、寒かったでしょう?」


久しぶりに会ったお婆様は、私に向かってやさしく微笑む。


これも、いつもの事……


お婆様は、兄さん達の前では私にとても優しく接する。

周りのメイドさん達も余計な事は一切口にせず、にこやかにしているから。

兄さん達の目には、お婆様が私をとても可愛がっているように見えていて……


私が本当の事を告げても、信じてもらえないかもしれない。



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