Wonderful DaysⅡ
「接近禁止令を無視して、マリアに近づくとは……
それを無視すれば、どうなるかくらい理解出来ただろう?」
「…………」
「あの時、“次は無い”と忠告したはずだ」
無言で地面に降り積もる雪を握り締める先輩に、マーク兄さんの突き刺さるような視線と言葉が向けられた。
───あの時?
「連れて行け」
その一言で、アル兄さんの後ろに控えていたボディーガード二人が、先輩の腕を掴んで立ち上がらせる。
両腕を拘束されて歩かされた先輩は、私の前を通り過ぎる時
「……あんたなんて、大っ嫌いよ!」
恨めしそうに吐き捨てられた言葉に胸が痛んだ。
お婆様が私を嫌う理由はわかったけれど……
直接交流が無かった先輩が、そこまで私を憎む理由がわからなかった。
「───何で……」
その理由を知りたくて無意識に出た小さな言葉は、何とか先輩の耳には届いていたようだけど
「あんたにだけは、絶対に言いたくないっ!!」
私の望む答えは返ってこなかった。