Wonderful DaysⅡ
【第3章】
White Christmas
それ以上、口を開く事無く通り過ぎて行った先輩は、止まっていたパトカーに乗せられて一度も振り返らないまま行ってしまった。
───結局、最後まで嫌われている理由はわからないままだったな……
心のモヤモヤが取れないまま、パトカーが消えていった道をボーっと眺めていれば
「───…で、いつまでマリアを抱きしめているんだ?」
聞こえてきた低い声に顔を向ければ、マーク兄さんが冷ややかな目でこっちを見ていた。
こっち…と言うよりは、マーク兄さんの視線は間違いなく魁さんに向いているんだけど。
「出来る事なら、ずっとこうしていたいですけどね」
態となのか……
そう言うと、私を抱きしめていた腕に力を込めてマーク兄さんに笑顔を向けた魁さん。
「……お前、相変わらずいい度胸してるよな」
魁さんの返事に、チラリとマーク兄さんの様子を伺ったアル兄さんは頬を引き攣らせた。