Wonderful DaysⅡ
そんな私を真っ直ぐに見下ろす魁さんは、交わっていた視線を少し逸らすと眉間を寄せた。
「…………」
何も言わずに、私の頬にそっと指先で触れると
「間に合わなくて、ごめん……」
なぜか謝罪の言葉を零す。
「え?」
その言葉の意味がわからなくて聞き返せば
「痛かっただろ? 赤くなってる……」
遠慮がちに添えられた大きな掌に、さっきお婆様に叩かれた事を言っていたのだと気づいた。
助けてくれた魁さんが謝る必要なんてないから、ふるふると首を振ってそれを否定する。
「……大丈夫です」
叩かれた頬は未だにジンジンとして熱を帯びていたけれど、二度目は魁さんが止めてくれたから。
このくらい大丈夫。だから、そう答えたのに……
「……大丈夫じゃない」
そんな私の返事に、納得がいかないらしい魁さん。