Wonderful DaysⅡ
綺麗な音色を奏でて鳴り響くその音は、ミサの始まりを知らせるもので。
自然と、皆の視線は寺院の方へと向かう。
───ミサが始まっちゃった……
私が聖堂を出て来てしまったせいで、兄さん達もミサに参加出来なかった事を申し訳なく思っていれば
「ほら! モタモタしてると礼拝が始まっちゃうよ」
「え?」
視線を落とした私に掛けられたアル兄さんの言葉は意外で。
「席はヴィクトル達が見てるから、今からでも入れる。
早くしないと、聖歌隊の歌声を聴き逃してしまうよ」
「あ……」
まだ礼拝に間に合うと言われて“うん”と返事をしようとしたけれど、次の言葉が出てこなかった。
私達の席は確保出来ているだろうけど、それじゃあ魁さんは入れない。
今、魁さんと離れるなんて考えられないから素直に頷けない。
そんな私に視線を向けていたのは……
「心配しなくても、魁の席もある」
溜め息を吐いたマーク兄さんだった。