Wonderful DaysⅡ
大祭壇の前では、司教様のありがたいお説教が続いていたけれど、最早、それどころじゃなくて。
私の薬指に嵌る指輪に鋭い視線を向けていたマーク兄さんに、何を言われるのかとビクビクしていれば
「……わかっているから、そんな顔するんじゃない」
マーク兄さんの口からは、予想外の言葉が。
「え……?」
わかってるって、何が?
マーク兄さんを見上げれば、さっきまでの凍てつくようなオーラは消えていて。
放心状態の私の顔を覗き込むと、苦笑いで頭を撫でられた。
「全く……ギリギリで間に合うとはな」
深い溜め息を吐いてから、私に向けていた視線を上に移したマーク兄さんは
「これで、文句はありませんよね?」
「───仕方が無いから、認めてやる」
にこりと笑顔で答える魁さんの言葉に、苦虫を噛み潰したような顔をして低く呟いた。
言葉の後に聞こえた舌打ちらしきものは、気のせいだよね?