Wonderful DaysⅡ
魁の視線の先に気づいたのか、ゆっくりと振り返ったマリアがこっちを見て顔を強張らせた。
あぁ…兄さんの顔を見て、マリアが青褪めていくのがわかる。
「あの…マーク兄さん? これは、えーっと……」
兄さんに話し掛けようと口を開いたが、何て声を掛けたらいいのかわからないのだろう……言葉が続かず固まってしまっていた。
そんなマリアの様子に気づいた兄さんは
「……わかっているから、そんな顔するんじゃない」
安心させるように目線を合わせると、苦笑いで優しく頭を撫でる。
「え……?」
怒りが収まったのが予想外だったのか、大きな瞳を瞬かせて兄さんを見ているマリア。
「全く……ギリギリで間に合うとはな」
深い溜め息を吐いてから、視線を移した兄さんは
「これで、文句はありませんよね?」
「───仕方が無いから、認めてやる」
にこりと笑顔で首を傾げる魁に、渋々了承した。
それが余程、悔しかったのか……
舌打ちも忘れない兄さんだった。