Wonderful DaysⅡ


気づけば日付も変わり、司教のありがたいお説教もいつの間にか終わっていた。

覚えている事と言ったら……

中途半端に聴いたクリスマスキャロルと、魁の度胸の良さに感服していた事だけ。

折角、クリスマス・ミサに参加したのに何しに来たんだかわからないまま、寺院を後にした俺達。

外に出れば、あれだけ降っていた雪は止んでいて。

降り積もった雪が街のツリーを飾り、月明かりに揺れていた。

今年は、ホワイトクリスマスだな……なんて思いながら舞い上がった白い吐息を見上げていれば


「……ところで、お前はいつまで我慢をしてるんだ?」


前を歩いていた兄さんが、急に振り返って声を掛けてきた。


「え?」


俺、何か我慢してたっけ?

一瞬考えてみたけれど、兄さんの視線が俺に向いていない事に気づいてハッとする。

兄さんのそれを追って振り向けば、マリアと並んで歩く魁と視線がぶつかった。


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