Wonderful DaysⅡ
White Christmas Ⅲ
◇
そろりそろりと周囲の様子を伺いながら、誰にも気づかれないように魁さんが居る部屋へと向かう。
ドキドキと高鳴る胸を押さえながら進んで行けば、やっとの思いで魁さんの部屋の前に辿り着いた。
───何だか、悪い事をしているみたい……
気持ちを落ち着けるように、一度深呼吸をする。
キョロキョロと辺りを見回して、誰も居ない事を確認してから、いざノックしようとした手を、扉に触れる寸前に止めた。
「………………」
こういう時って、ノックをしてもいいものなんだろうか?
時間は深夜二時を過ぎていて。
こんな時間に男の人の部屋に来るのもなんだけど、具合が悪い魁さんは眠っているかもしれない。
でも、無断で入るのは……
折角、部屋の前まで辿り着いたのに、ノックをした方がいいのかを真剣に悩む事数十秒。
「よしっ!」
取り敢えず、控えめにノックをしてみようと決めて扉に手を伸ばしたけれど……
ノックをする前にカチャリと開いた扉に驚いて、ドキリと一際大きく心臓が音を立てた。