Profession of the first and the last
#4.選択授業が起こした奇跡
*
今思えば、
それまでなんで気付かなかったんだよって。
そんなふうに思えるくらい、
僕らの出会いは不思議だったね。
僕の後ろと、僕の隣。
すごく近くにいたはずなのに。
それぞれが繋がったのは夏も終わりに近付いた、
9月の午後の、昼下がり。
僕こそ授業なんて真面目に聞いてなかったけど、
2人もすごい冒険家だったね。
何を真剣に書いているのかと振り返れば絵を描いていたり、
隣を見ればケータイを堂々といじっていたり、
時には完全なお休みタイムで。
僕らは結構、あの時間を無駄にしてたね。
だってさ、もっと早くに話していれば、
もっと長くいられたのに。
「何書いてるの?」
そう聞かれたときに、
いつものような言葉が出てこなかったんだ。
だから咄嗟に言ってしまった。