童話曇灯-fairytale detective-
「た、探偵……ですか?」
「えぇ。もしくは、何でも屋……とでも言っておきましょうか」
うん。 こっちの方が正しいかもしれない。
思わず笑った私に、2人が怪訝そうな顔を見せる。
「この学園には多くの生徒さんがいらっしゃいます。
多くの方が集まることには多くの利点がございますが、それと同じくらいの確率で、好ましくないことが起こってしまうこともまた事実でしょう」
「好ましくないこと、ですか?」
「はい。今日のところは、トラブル……とでも申しましょうか。
そして、もしもそれらの影響で悩み、苦しむ生徒さんがいらっしゃったとしたら……それは、大変悲しいことでございます」
淡々と話す私を見て、姫羅が表情を歪めた。
隣で何の色もない顔を貫く王輝が何を考えているのかは、私にもわからない。
「トラブルの原因を1つ1つ取り除いていきたい。乙戯花氏があなた方にお願いしたのは、このようなお気持ちからなのです。
先生方にお頼みすることも考えたのですが、生徒間でのトラブルならば、より生徒さんに近い方々に解決していただくのがベストである、との結論に至りました。
学校行事や他の委員会の統率などで忙しい生徒会にはできない、こまやかな分野にも徹底的に対応していただきたい、乙戯花氏はそうお考えになっていらっしゃいます」
“生ぬるい”
この言い方では、さすがに生徒会のメンバーが気の毒である。
私は、まとっていた笑顔を引き締めた。