童話曇灯-fairytale detective-
品位と優雅さを兼ね備えた、乙戯学園。
そこで生活をする人々が傷つくこと、辛い思いをすることがあるならば、それは学園の名を汚すことにもつながるだろう。
「だから、お2人にお願いしたいのです」
「僕たちがそういった“トラブル”に関与しているとは思わなかったんですか?」
「その辺りは問題ありません。
学園でトップレベルの成績を誇るお2人が、そのようなくだらないことにお時間を割いているだなんて……。疑う方がお2人に失礼でしょう?」
微笑みながらそう言うと、王輝は満足したのか、小さく笑った。
「こちらのお願いで授業を欠席しなければいけないこともあるでしょうが……もともと成績の良いお2人なら、授業の1回や2回受けなくても支障はないでしょうし。
退屈な授業を受けなくて良いのですから、貴方たちにもメリットはあるでしょう」
「あの、それは……負狸教頭がおっしゃって良い、台詞なので……しょう、か?」
「構いません。まぁ、この学園の教員は他とは違って優秀な方々ばかりですから心配ないとも思うのですが……。
もちろん、お仕事で授業を休む場合の内申点は保障します」
ぽかんとして首を縦に振る気配のない2人を、しっかりと見つめる。
「このお部屋は、こちらのわがままを押し付けてしまっていることへのお詫びでもあるのです。
お仕事に関する負担を、少しでもやわらげられれば、と考えております」
「あの……。これらの予算は、学園から……?」
「お2人のご両親を含め、学園を支援して下さる方は、とても多いのです」
私は、静かに頭を下げた。