童話曇灯-fairytale detective-
「ご迷惑をおかけすることは重々承知でお願いしているのです。私もできる限りのサポートを致します。
どうか、このお仕事を受け入れてはいただけないでしょうか?」
顔を上げると、姫羅が王輝に視線を送ったところだった。
いつもおどおどと行動する面影は、今の彼には全く見られない。
……これはチャンスだ。
「引き受けてくださいますか?」
私は、すぐに問い掛けた。
少し不安をまとった私の表情を、彼がしっかりととらえる。
「僕にできることなら喜んで。……亜須賀さんも、やる、よね?」
そう言って姫羅に合わせられた視線は、とても優しいものだった。
相変わらず話し方はたどたどしかったが、彼の周りには物静かな雰囲気が漂っている。
こうして頼まれたことを、“乙戯学園の姫”が断るとは……――――
「ご期待に答えられるかはわかりませんが……。あたくしも、喜んでお引き受けします」
にっこりと微笑むと、姫羅は私に深く頭を下げた。
そんな彼女を見て、私の頬も自然に緩む。