童話曇灯-fairytale detective-
「家の中では普通でいいって言われてるからな。
負狸教頭が言ってただろーが。『この部屋は家だと思って使え』って。だから、ここでは素でいることを先に伝えておきたかったんだよ」
さらっとそう言ってから、王輝はぐっと両腕を伸ばした。
そのまま、少し面倒臭そうに口を開く。
「さっきの電話の相手は瑠だよ。
王姫のことと、この部屋のことを話して、ここでは演技をしなくてもいいように許可してもらった」
「教頭先生からお聞きした内容をお伝えしたのですか?」
「あぁ。王姫のことは内密にしろって言われたけど、瑠なら別に問題ないだろ。あいつは秘密をもらすようなタイプじゃないしな」
「なるほど、そういうことでしたのね」
瑠に王姫のことを伝えた件については、乙戯花氏に伝わらなければ問題ないだろう。
私は、その辺りにこだわるつもりもない。
王輝の言葉に納得したのか、姫羅はにっこりと微笑んだ。
「あぁ。だから、このことは誰かに話すのはNGってことで。瑠の身の安全と、俺の一生がかかってる」
少々大げさなお話であるようにも聞こえるが……
そこまで言われてしまっては、姫羅も反論できないだろう。
「わかりましたわ。誰にもお話し致しません」
王輝は、すっと微笑むと時計に目を移した。