童話曇灯-fairytale detective-
「きゃあっ!?」
「……面白れぇ。人間って本当に『きゃあ』なんて言うんだな」
いつの間に……!?
思わず震えた肩の力を抜いてから、姫羅はくるりと振り返った。
そのまま、予想以上に近い距離にいた王輝を見て、また方に力を入れる。
何故か満足そうにうなずく王輝を軽く睨んでから、姫羅はまた包丁を握った。
「いきなり何ですの? 危ないとは思わないんですか?」
「安出泉に関する情報収集が終わった」
「そうですか。大体、こうして邪魔をしておいて、後でおなかがすいたなどと文句を言うのではありませんか?
そういう態度はあたくし……」
「安出泉に関する情報収集が終わった」
「ですから…………って、本当ですの!?」
包丁をぱっと放して、姫羅が勢いよく振り返る。
そんな姫羅の様子を見て、王輝はにやりと頬を上げた。
「夕食ならもう少し待ってやる。安心しろ。作ってもらってるんだから、必要以上の意見を言うつもりはない。俺なりに感謝もしてるつもりだ」
「話が噛み合ってませんわ! そんなことはどうでも良くってよ!」