童話曇灯-fairytale detective-
ぐっと睨みつける姫羅の視線を、王輝はさらっと受け流す。
「めんどくせぇお姫様だな。安出泉の情報を集めた。これで満足か?」
そう言うと、王輝は持っていた紙をひらひらさせながらソファーへ向かった。
慌てて手を洗って、姫羅がその後を追いかける。
初めて安出泉の話をした時と同じ位置に座った王輝が、向かいに座る姫羅を見届けてから資料を読み始めた。
「3−A、安出泉。女子水泳部部長。
身長は165cm、体重は55kg。スリーサイズは上から……」
「ちょっと待って下さい!」
「何だ?」
慌てたように話をさえぎられて、王輝が不満そうに口を開いた。
「スリーサイズって……そのような個人情報まで調べたんですの?」
「当たり前だろ。出てきた情報は全部まとめた。俺にかかれば不可能なこともないだろ」
顔色1つ変えず淡々と話す王輝を見て、姫羅がため息を落とす。
「きっと悪気はないんでしょうけど……」
「は?」
安出さんのお気持ちを考えると、反論せずにはいられませんわね――――