童話曇灯-fairytale detective-
王姫の仕事を行うために、このようなことが今後、何度行われるのだろうか。
いくつの部活に仮入部をするのだろう。
いくつ、普段ならば手を出さないようなことに取り組むのだろう。
いくつ、鈴を含めた周りの人達に嘘をつくことになるのだろう。
仕事を隠すためには、どれも仕方のないことだと言える。
鈴に申し訳ないことをしてしまいましたわ……――――
肩を落とす姫羅の横を、王輝がすっ、と通り過ぎる。
「大変そうだったな。ま、なかなか面白かったぞ」
「はい?」
ちょうど隣に来たところでそうつぶやく王輝を、勢いよく見上げる。
明らかに学園用ではない王輝の言葉遣いに、姫羅は思わず、小さく笑った。
「こんな所で……。秘密を守るつもりはあるんですの?」
王輝の行動は、軽率としか言いようがない。
気を遣って下さったんですのね――――
ありがとうございます、そう心の中でつぶやくと、姫羅もすっ、と立ち上がった。