童話曇灯-fairytale detective-
「亜須賀には今日から練習に参加してもらう。
とりあえず仮入部だから残りは4日間だけだが……。みんなもよろしく頼む」
任御の声が、煩いくらいにプールに響いた。
同時に、水泳部の練習メニューに従って体操をする姫羅には好奇の視線が集まっていた。
学園の姫が自分の部活に仮入部しているのだから、驚かない者などいるはずがない。
そんな視線達に心の中でもやもやとしたものを感じながらも、姫羅は自分の仕事に徹した。
「じゃあ、各々コースに入って自由にゆっくり泳いでくれ」
これから、ウォーミングアップに入るんですのね。
前もって練習の内容は軽く聞いていたが、実際に練習に参加するとなると、話は別だ。
仮入部であるため、全てのメニューに部員と同じように参加するわけではないとのことであるが、久しくプールに入っていない姫羅には少しためらわれるものがある。