童話曇灯-fairytale detective-

他の部員の様子を窺おうと一歩下がった姫羅は、隣に気配を感じてすっと視線を合わせた。


部活での練習に慣れている人間が、自分と同じ行動をとるのはおかしい。



「安出泉さん……?」


「え?」


「やはり、安出さんですわね?」



恐る恐る声を掛けると、安出は少し怯えたように頷いた。


眉間にしわを寄せて姫羅を見る安出の様子は、少し不自然にも感じられる。



「水泳部の部長さん、ですわよね?」


「あ、はい……」


「ご挨拶が遅れてしまって申し訳ありません。亜須賀姫羅と申します。
短い期間ではありますが、どうぞよろしくお願い致します」



丁寧に頭を下げた姫羅に、安出ははっ、としたように反応した。



「そ、そんな! 別に構いません!こちらこそ、挨拶もしないで……す、すみません」


「……」
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