童話曇灯-fairytale detective-
この日の料理部の活動は、次回作る料理を決めである。
先ほど声を張ったのは、料理部の部長。
淡々と材料や手順の説明をしていく様は、流石だと言えよう。
副部長の宇率は、その横でにこにことしながらメモをとっている。
そんな様子を横目で眺めながら、王輝はひっそりと溜息を吐いた。
活動自体は大したことがない。
だが、部活が始まってからもう2時間も経っている。
そろそろ、全ての部活に下校の指示が出る時間だろう。
話し合いだけだから早く終わるだろう。
そう考えていた王輝にとって、この時間は苦痛でしかない。
肝心の料理の話はほんの少しで、後は全てただの雑談。
誰が格好良いだとか、何に腹が立つだとか、……。
そんな女子特有の話題を、王輝はただ聞き流していた。
「メール……?」
いきなり震え出した携帯電話を見てから、王輝は部員達の会話を無視してメールを開いた。