童話曇灯-fairytale detective-
◇報告その2
「王輝! 遅かったですわね」
王輝が王姫ルームへ行くと、姫羅はキッチンに立っていた。
てきぱきと動く様子から、何かを作っている途中であることは明かだ。
「あぁ。料理部が無駄に長引いてな」
「あら、無駄に、なんて言ってしまっては、部員の皆様に失礼ですわよ?」
「本当に無駄だったんだから仕方がないだろ。……ところで姫羅、お前、何やってるんだ?」
フリルのたくさん付いたピンクのエプロンに包まれた姫羅を、王輝は不思議そうに見つめる。
エプロンは、昨日クローゼットから引き出してきた戦利品である。
クローゼットから出てきた姫羅の表情を思い出て、王輝は思わず笑った。
よっぽど中で衝撃的なものを見てきたんだろうな――――
中にどのような洋服が準備されているのか知っている私でも、あれら全ての使い道を説明することはためらわれる。
「えっ? あぁ、プリンを作ろうと思いまして」
さらっ、と答えた姫羅を見て、王輝は眉をしかめた。
姫羅の傍には、カップやスケールなどがぎっしりと並べられている。
「プリン? まさか、それが夕食……?」