童話曇灯-fairytale detective-
「馬鹿……かもしれませんが、そのように言ってしまっては少し気の毒ですわ」



眉間にしわを寄せ、エプロンを外しながら姫羅が言う。


そのまま、すとん、と王輝の目の前に座った。



「パソコンで作った方がいろいろと都合が良いだろ。どう考えても馬鹿だとしか思えん」



そう言うと、王輝は携帯電話をテーブルの上に置いた。



部活中に届いたメールは、安出のロッカーで手紙を見つけたとの連絡だった。


水泳部の部室にある、縦長の一般的なロッカーである。


鍵のかかった部室には、部員1人1人に専用のロッカーが設置されていて、水泳道具や着替え、鞄などを置くことになっていた。



簡易なものではあるが、鍵もかけられるようになっている。


部室に入るには、扉の外に置いてある植木鉢の下に隠した鍵を使えば良いとのことだ。



仮入部の姫羅も、それらの説明を聞いてから、空いているロッカーを使うように言われていた。



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