童話曇灯-fairytale detective-
◇人魚姫救出大作戦!?
「王輝!狭いですわ! もう少しそちらに寄って下さい」
「あ?そんなもん仕方がないだろうが! こっちだってキツいんだよ。もう少し我慢……」
「お黙りっ! 静かに!」
いきなり力強く言い放った姫羅に、王輝が軽く溜息を吐く。
緊迫した空気を察して、王輝はそのまま言葉を飲み込んだ。
今2人がいるのは3-Aの教室。
…………に、接する廊下にあるロッカーだ。
縦長の、本来は掃除用具などを入れている金属性のロッカーである。
水泳部の部室にあるものと似ているが、それよりも幅は広い。
全ての用具を近くの別のロッカーに押し込んだのは昨日の夜のこと。
そのまま王姫ルームに泊まり込んだ2人は、朝一番にこの中に入った。
今日の授業は、もちろん、全て自主休講である。
私が王姫の仕事のために授業を休みたいと連絡を受けたのは、今朝のことである。
このことを報告した時の乙戯花氏の楽しそうな顔は……思い出しただけでもぞっとする。