童話曇灯-fairytale detective-
 
ディスプレイにうつし出されていたのは、手紙の差出人の名前とその行動パターンを示した表だった。


時間や項目ごとに整理してあるおかげで、1日の動きを簡単に把握できる。



王輝の意外なマメさと相変わらずの謎の情報収集能力に感心しながら、姫羅は頷き、口を開いた。



「授業の課題もなく、予習を必要とする教科も1つしかないのは1週間のうちで今夜だけ。
しかも、この方の成績から考えると本日の復習を行っている可能性は低いですわね」



姫羅は、一度すっと息を吐いた。



「つまり、手紙を書くならば今夜が一番都合が良いのですわね」


「あぁ。しかも、安出泉のクラスでは明日、移動教室が3回ある。手紙を設置するのには好都合だ。
万が一何らかの手段で部室に直接置いていたとしても……」


「明日、この方の部活動はお休みですわ」


「あぁ。だから、現場をおさえて問い詰めるには明日が一番だ」



王輝は、にやりと笑った。


初めは渋っていたこの仕事も、それなりに楽しんでいるらしい。



「ですが、どのようにして現場を? 移動教室も均等にばらけた時限にありますし、あたくし達が3年生の教室の近くにいては不自然ですわ」


「そうなんだよ。最強に面倒臭い方法しか思い浮かばねぇ……」


「“最強に面倒臭い方法”?」


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