童話曇灯-fairytale detective-
 
その方法がこれだなんて……有り得ませんわ――――


そう思うものの、姫羅も他に良い方法を思い浮かばなかったのだから仕方がない。


頼まれればカメラを取り付けるなり工夫はできたのだが、その場で手紙の差出人を追い詰めることを重視した結果がこれなのだろう。



姫羅は昨晩の王輝とのやりとりを思い出して、もう一度溜め息を吐いた。



3限目の真っ最中である今、3―Aでは数学の授業が行われている。



数学の授業は昼休みの直前、4限目は体育。


つまり、この授業が終われば、教室は空になる。



生徒が登校する前から見張っていたが、今まで手紙を仕込むようなしぐさをした者はいなかった。


この後の時間が、最大のチャンスであるとも言える。



現在の状況に嫌気が差してきた姫羅と王輝は、早く犯人が現われることを願うばかりだった。



「姫羅、授業が終わったぞ」



王輝の静かな、しかし期待に溢れた声で姫羅はぱっと顔を上げた。
 
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