女達の戯言
そんな江藤さんとも
知り合って10年もの月日が
流れている。


一昨年、江藤さんは
コツコツと書きためた詩を
編集し自費出版で一冊の詩集にした。


世間知らずのお嬢様の江藤さん。
けれど、その詩集制作に対する
情熱はとても熱かった。


出来上がって間もない詩集を
手にした私は
じっくりとゆっくりと
繰り返し読んだ。


魂の籠った言葉がそこには
綴られていた。


私には書けないし
ここまで出来ないな
と、思った。


マイペースながらも
こうして何事も有言実行
必ず、やり遂げる
江藤さんのその精神に
私は尊敬の念を抱いている。


だから、
ちょっと不思議な世間ずれした
江藤さんと未だに付き合っているのかな


そんな風に思えた。


その詩集の表紙では
いつかの写真集で使用した
江藤さんがぎこちなく
笑っていた。






【江藤さんと言う女】











< 45 / 61 >

この作品をシェア

pagetop