それから30分ぐらいして、後はカツを揚げるだけになってソウタは騒々しく帰ってきた。



「くっそ、濡れた!」


あたしが気付かないうちに雨が降ってたらしい。



「え、ちょっ、ずぶ濡れじゃん!待って、タオル取ってくるから動かないでよ!」



髪から幾つもの水滴を落とすソウタは全身びちょ濡れだった。



急いで洗面器からバスタオルを持ってくると、ソウタの頭に被せた。


そのまま拭いてやろうと思った瞬間、右腕を掴まれた。



「…いい。自分でやる」


「……そっか。じゃすぐお風呂入ってきなよ、風邪引くよ」



あたしの言葉をシカトして洗面所まで行ったソウタ。




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