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戻らない一時
朝起きてみると確かにあたしを抱き締めて眠ったはずのソウタの姿が無くて。
昨日のは夢で、現実に戻ったように感じた。
ボーッとしたままベッドに寝そべって、ソウタの匂いがするこの部屋から出たくなかった。
「好きだよぉ…」
小さく呟いて、静かに泣いた。
好きで好きで堪らなかったんだよ、ソウタ。
もう戻れないのに、グズグズばっかりして泣いてばっかのあたし。