河の流れは絶えず~せせらぎ編~
「何のようだ?」
と、腕組みしながら聞いてくる。
ふてぶてしいまでの尊大な瞳は初めて会った頃と全く変わらない。
こいつは俺と話をする時はいつだってこの態度を崩したことがない。
いつだったか、
「これが、俺の素なんだから、しょうがねぇだろ。」
そう言っていて、それからは俺もこいつの前では遠慮がなくなった。
、、、、、だが。
大方、見当はついているだろうに、この言い方が癪に障る。
俺に全部を言わせたいらしい。
「例の噂のことだ。」
そう言うと、奴の眉間に皺が寄り、視線が更に厳しくなる。
「で?どうなんだ、真相は。」
「本当だ。」
そう言った瞬間、風を切る音と同時に奴が俺の胸倉を掴んでいた。
「どういう了見だ、浩。俺の妹だと知っていたんだろ?」
言いながら襟を締め上げてくる。
呼吸がし辛くなる前に、奴の両腕をつかみ、強く握る。
「、、、、知っていた。」
途端に奴の顔が怒りに染まった。
奴は尚も締め上げにかかり、俺はその手を押し込める。
「なんであんなところへ連れて行ったんだ。あぁ?あいつの学校は異性交遊禁止なんだぜ、わかってんのか。」