恋人遊戯
殴られた痕は、なくなったとは言え…体は覚えているんだ。
手が震える…。
「噂…、聞いたのよね~…。あんた、拾われた子だとか…他にも兄貴とヤバい関係だとか~? 本当はどうなのかしら~?」
周りにいた人達も、たちまち私から視線を逸らして小さく笑うのが微かに分かった。
…そっか……、皆そう思ってたのか…。
「…それを聞いてどうするんですか? 例え、私が拾われた子だろうが、兄とヤバい関係だろうと…迷惑かけましたか?」
周りの子たちが、一気に息を呑むのが分かった。
別に、本当の事を話すなんて馬鹿らしいし、そんな義理なんてないもの。
微かに怒りを覚えながらも、私は一言言えば周りの空気がピシッと凍り付いた。
その様子を見た私は、そのまま荷物を持って教室を出て行く。
…逃げる…と言う訳じゃないけど、あの場にいたって楽しい事がある訳じゃない。