恋人遊戯
顔を固まらせて、入ってきたお客さんは今の私に取って…天敵とも言える人が目の前にいる。
固まったままその場に立ち尽くして私は、その人物を見つめるだけ。
その人は、私みたいな人に告白してきた樋高先輩であって…。
うわ…。バレる!
私と目が合いそうになった瞬間、私はクルリと先輩に背中を向けた。
もうバレてるのかもしれない! でも、無駄な足掻きだって言われちゃうかもしれないけど…。
さっさと、トレーをお店の出入り口辺りに置きにいって、戻らなきゃっ…!
焦れば焦るほど手元がぎこちなくて…。
くわぁんくわぁん…。
………や、やってしまった…。
持っていたトレーを何枚か落としてしまい、お客さんからの視線が痛くって…。
まだ手に残っていたトレーをいつもの定位置に乗せた私は、サササッと落としたそれを拾い上げてカウンターの中へ引っ込んだ。